大阪万博1カ月 来場者240万人突破も『並ばない体験』実現に課題 梅雨対策急ピッチ

2025.05.16 | 日本生活

日本国際博覧会協会は12日、大阪・関西万博の初動状況に関する詳細データを発表した。4月13日の開幕から5月10日までの4週間で、一般入場者数(確定値)は2,419,509人に達した。これは事前予測の約85%に相当し、週ごとの推移では第1週58万人、第2週63万人、第3週66万人、第4週55万人と、ゴールデンウィーク期間中にピークを迎える傾向が確認された。

来場者満足度調査(有効回答数8,200件)では、施設全体に対する評価で「満足」が42.3%、「ほぼ満足」が37.4%となり、合計79.7%の肯定的評価を得た。特に日本館の先端技術展示(満足度92%)や参加国の文化体験コーナー(同88%)が高評価を獲得する一方、飲食施設の混雑(不満意見34%)や休憩スペース不足(同28%)が課題として浮き彫りとなった。

開幕1カ月を迎えた13日現在、主要パビリオンの平均待機時間は日本館(150分)、ドイツ館(120分)、サウジアラビア館(110分)と依然として長時間化しており、協会が掲げる「ストレスフリーな来場体験」実現への道程は険しい状況だ。これを受け運営委員会は、10日から早朝・夜間割引チケットの販売を開始するなど時間帯分散策を強化。さらに6月1日からはAIを活用した混雑予測アプリ「EXPO NAVI」の本格運用を予定している。

気象庁の予報によると、近畿地方の梅雨入りは平年並みの6月7日頃と見込まれており、屋外施設が65%を占める会場運営にとって重大な試練となる。協会は降雨時対策として、臨時屋根付き通路の増設(現在の1.2kmから2.5kmへ拡張)や吸水速乾性敷材の導入を急ピッチで進めている。石毛博行事務総長は記者会見で「7月の学校休暇期間に向け、1日15万人ペースの達成には冷房設備完備の待機エリア整備が不可欠」と述べ、6月中に大型テント20棟を追加設置する方針を明らかにした。

目標来場者数2820万人達成に向け、現状の入場者数は約8.6%の進捗率。特に課題となるのは平日の集客力で、週末の平均11万人に対し平日は4万人台にとどまっている。経済アナリストからは「入場料収入(平均5500円/人想定)だけでは総事業費2350億円の回収に厳しい数値」との指摘も上がっており、グッズ販売(目標売上300億円)や法人協賛の拡大が急務となっている。