髙市早苗氏、初の女性首相に就任

2025.10.21 | 日本生活

10月21日午後、日本の政界は歴史的な瞬間を迎えた—-髙市早苗が第104代内閣総理大臣に就任し、この国初の女性首相となった。衆議院本会議場には報道関係者が詰めかけ、スーツに身を包み凛とした表情の女性に焦点が合わせられた。議長の木槌が鳴り、採択結果が告げられるや、場内には拍手が湧き起こった—-歴史はここで動いた。しかしこの「勝利」は、決して平坦な道のりではなかった。

髙市の首相就任は、日本の政界における勢力図の一大再編を背景としている。公明党の連立離脱、自民党内の再編、日本維新の会との急ごしらえの連携—-これら複雑な政治状況を乗り越えての登頂であった。彼女を頂点に押し上げたのは有権者の支持だけでなく、危うい権力バランスの上に成り立つ駆け引きの結果でもあった。

事の始まりは10日前にさかのぼる。自民党総裁選で林芳正、石破茂らを破り第29代総裁に選出された髙市は、慣例に従い首相就任が確実視されていた。しかし、連立与党の一角を担ってきた公明党が「政治資金規正」と「企業・団体献金」をめぐる対立から連立離脱を突然発表。1999年以来続いてきた与党連合は解消され、自民党は単独過半数の基盤を失った。髙市は首相の座すら危ぶまれる窮地に立たされたのである。

しかし彼女はひるまなかった。わずか三日という短期間で「政治逆転劇」の脚本を書き上げ、日本維新の会との連立政権合意にこぎつける。維新は閣内入りしないものの、閣外協力という形で髙市政権を支えることとなった。国会議員定数削減、防衛費強化、ビザ制度簡素化、地方分権推進など12項目の政策合意が、この危機を乗り切る決め手となった。

維新の支持と無所属4議員の賛同を得た髙市は、21日の首相指名選挙で過半数の票を集め、確実に勝利を収めた。これは内部分裂を乗り越え、女性初の首相誕生という政治的な奇跡を成し遂げた瞬間であった。

世間の関心はすぐに、彼女が率いる内閣の顔ぶれに向けられる。髙市内閣は「強硬な現実主義集団」と評された。財務大臣には片山さつきを起用。ベテラン官僚出身で「財務の鉄娘子」と称される彼女の登用は、財政再建への本気度を示す布陣となった。経済安全保障担当大臣には39歳の小野田紀美を抜擢。法務・防衛政務官経験者の若手女性政治家は、髙市政権の「後継候補」と目されている。

防衛大臣には、かつて「エコ系イケメン大臣」として知られ、前回総裁選で髙市と争った小泉進次郎を登用。この人事には「髙市は厳しいだけでなく、人使いもうまい」との声も上がった。外務大臣には自民党ベテランで外交派の茂木敏充を留任させ、日米中関係の修復を担わせる。内閣官房長官には、防衛大臣経験で「髙市の影の右手」と称される木原稔を据えた。

全体として、男女混合・世代交代を図り、強硬かつ現実的な権力基盤が形成された。しかし、女性閣僚が2人にとどまったことは、ジェンダー平等への道のりがまだ遠いことを示してもいる。

さらに劇的なのは、この初の女性首相が就任早々、国際的な試練に直面することだ。米国のトランプ大統領が来週来日する予定と報じられており、防衛費負担や台湾情勢、半導体供給網などをめぐる非公開協議が行われると見られている。「就任の祝賀ムードも冷めやらぬうち、外交という試験問題がすでに手渡された」と冗交まじりに指摘する声もある。

もとより髙市早苗は、憲法改正、軍備強化、対中強硬路線を掲げるタカ派として知られてきた。「日本に自信を取り戻す」という政治スローガンを掲げる彼女を、多くの国民は物おじせず発言する「鉄の女政治家」と見做している。しかしそうした立場ゆえに、その就任は国内外で賛否両論を巻き起こしている。支持者は「ようやく日本の男社会政界が打破された」と賞賛する一方、反対派は「彼女の登場は日本がさらに危険な右傾化へ向かうことを意味する」と警告する。

現在、日本国民は固唾を飲んで見守っている。この「鉄の女」が、政治の疲弊、経済衰退、人口危機に直面する日本を本当に「復活」へ導けるのか。それとも、その輝きはつかの間の花火に終わるのか。いずれにせよ、日本は「髙市時代」に突入した。物語は始まったばかりなのである。